介護保険制度の改正と共生型サービスの関係

平成30年の介護保険制度の改正によって、介護現場を支援するため様々な変革が行われました。長期療養の必要な利用者に医療行為を施すことができる介護医療院という介護保険施設が創設され、福祉用品のレンタル価格が適正化されました。また、障害者と高齢者が共存する共生型サービスが開始されたのです。従来、高齢者施設と障害者施設の両方を兼ねることは不可能というわけではありませんでしたが、要件が厳しくなかなか実現が困難でした。

そこで、介護保険と障害者福祉の適用要件を緩和して兼用施設の実現を容易にしたのが、共生型サービスなのです。とは言え、働くとなると共生型サービスは研修や資格の面においてハードルが高く、なかなか実現できないのが現状。共生型サービスを推進するには、行政上のサポートが必要になってきます。この点について、福祉用品のレンタル価格適正化や介護医療院の創設などの介護保険制度の改正が、共生型サービス推進を図るうえで重要だと言えるでしょう。

障害者施設が高齢者対象の介護保険施設を併設しようとすると、入浴等に必要となる介護用の高価な福祉機器の導入が求められます。従来は、福祉用具をレンタル業者から借りる際の料金に規制基準が無く、業者の言い値となっていました。しかし、介護保険制度の改正によって福祉用具のレンタル価格に適正な基準が設定され、高額なレンタル料金を請求されることがなくなったのです。こうして、共生型サービスを開始する施設が福祉用品を調達することが容易になりました。また、医師が常駐する介護医療院を併設することにより利用者の健康管理が充実するメリットに注目して、共生型サービスの導入を考える施設も現れるようになったのです。